月曜日, 9月 11, 2006

ダーウィンのマンガ本をどうやって作ったか

マンガ本を作る作業はソフトウェア製作、科学実験の行い方や細かい絵を描く工程と共通点がある。それは実際の作品作りにとりかかる前に色々と計画しないといけないことが多いことである。

教育マンガの場合、マンガを描き始める前にはまず本の内容をきっちりと決めないといけない。でもそうすると、「芸術に大切な自発的な独創性に欠けてしまうんじゃないか?」と心配する声が聞こえてくる。少しはそうかもしれない。しかし教育マンガを作る作業は複雑なので、本を全体として成り立たせるようにするために前もってプラニングする方がずっと得なのだ。小さなことは後からでも変えられるが、前もって具体的な計画を立てれば立てるほど取戻しがつかない間違いを防げる。


ダーウィンのマンガの場合、この本で何を伝えたいのかなどを色々と考えてみた。対象の読者はだれか、読者が何を知りたがっているか、そしてそれをどうすれば一番うまく説明できるか。こういうアイデアから骨組みを作り、後から集めた資料で肉付けしていった。

さて、これが普通の本だったらこの段階で編集を加えれば完成というところだ。でもマンガなので、これから内容を絵に変換する大作業が残っている。後からイラストを単純に付けたしたような絵本になってしまわないように、内容をユーモアと流れる会話で整形する必要がある。最終的なシナリオは誰が何をしながら何を言っているのかをコマ単位で指定するものとなる。それが完成して初めてマンガを描く段階に移れるというわけだ。

私のデビュー作のマンガ作成方の半分は典型的だった。まずはマンガ用の厚紙にコマ割りを意識したマンガのスケッチを鉛筆で納得いくまで描く。それを丸ペンでインクし、絵が乾いた後に消しゴムで鉛筆のスケッチを消す。そうやって完成した線画をスキャナーでコンピューターに取り込む。最後にマックで(はい、私はアップル社のファンです)文書をタイプセットし、シェーディング、コマの線、台詞、タッチアップや特殊効果をアドビ社のイラストレーターとフォトショップで入れる。






出来上がったページは低解像度のファイルに圧縮して、内容をチェックしてもらうために電子メールで大塚さんに送る。205ページ全てが完成した時、大塚さんと何度か編集して、最終チェック後に印刷所へ送った。さすがに初めての本だったのでおかしな間違いがみつかった。例えばダーウィンの指の数が初め描いていたころは五本だったのに、後のほうでは四本になっていた。また私のフォトショップの利用法もページが進むにつれて上達していったので、全体を同等にするように最後に全ページを微調整した。

そうやって私の初めての本は描かれた。結構一般的な工程なので将来使うプロセスはそれほど変わらないと思う。ただ、これからはインクと紙を使わないオールデジタルなコンピューターだけの作業となるので実に楽しみである。