木曜日, 8月 24, 2006

何故マンガなのか?

うむ、よくぞ聞いてくれた。なんでマンガに興味を持ったのかが知りたいところだろう。

私は東京で生まれたのだが、父がMIT(マサチューセッツ工科大学)で職を得た時に家族はボストンに引越し、それ以来ずーっとそこに住んでいる。まだ赤ん坊だったので故郷のことは何も覚えていなかったが、家では日本語を話していたので、初めの言葉「ヒコーキ」は日本語だった。


マンガとの初めての出会いはまだ三歳の時、ニューヨーク市を旅行中の時だった。ニューヨーク市には常に日本人が多く、いつも数軒は本屋さんがあり、そこであの不滅のクラシック「どらえもん」や「日本昔話」をみつけて夢中になった。今では日本の本はオンラインで買えるが、昔は大都市で(パリ、デュッセルドルフ、そしてもちろん東京)日本の本屋さんに行くことが旅行のハイライトだった。そういう思い出から本屋さんを宝探し、マンガを宝という風にいつまでも連想するようになった。

日本語での読み書きと会話ができるのも、マンガと両親や祖父母がこれらの本を与えてくれたお陰である。

つまり、私はマンガに囲まれて育ったわけで、マンガの読みやすさやエンタメとしての価値を賞賛している。お気に入りのマンガには「サイボーグ009」、「ブラックジャック」、「おれは鉄平」、「北斗の拳」などがあり、中国のクラシック「三国志」や「水滸伝」にも強く影響されている。


日本にいる皆さんにとっては当たり前の知識だと思うが、出版物の3分の1をマンガが占めている日本ではマンガは完全に確立されたメディアである。マンガが浸透していないジャンルはないため、男女問わず、全ての年代の人がマンガを読む。エロマンガは相変わらず人気があるみたいだし(やっぱりマンガ界でもそうですよ)、典型的なスポーツ、アクションやラブコメマンガもあれば、お寿司に関してのマンガもある。これはアメリカンコミックスの状況とは随分違う。ここ数年スーパーヒーロー映画がハリウッドで大ヒットしているが(「バットマン ビギンズ」と「スパイダーマン 2」は最高だった!)、コミックス自体は比較的マイナーな存在になってしまっている。

というわけで、私は業界が大きく、個人のビジネスとしてマンガを描くためのビジネスモデルがすでに確立されている日本でマンガ道を始めることにした。ビジネス面をそれほど気にせずに自分のマンガに集中できるからである。

子供のころ、私は父に「自分にしか出来ないことをやれ」と言われた。自分の道を切り開こうとしている今、その言葉に忠実に進もうと心がけている。私が思うに、人間はそれぞれ生まれつきのモノや得る経験はユニークではあるが、実際に自分にしか出来ないことをやれるかどうかは自分のユニークさをいかに使うかで決まる。