月曜日, 9月 04, 2006

マンガ、アニメと映画

私はマンガとアニメを勘違いする人によく出会う。「いつか静止ショットを見せてくれよ」とか「よう、アニメの進み具合はどうだ?」と聞かれる。まあ、マンガなどにそれほど興味ない人たちがそれなりに会話を進めようとしているのはわかるが、それでもなあ…

言うまでもないと思うが、「マンガ」とは日本のコミックスで、「アニメ」はテレビや映画館で見る日本のアニメーションのことである。両方とも話を語るメディアではあるが、小説家が映画の製作に直接関わりを持たないように、アニメとマンガのビジネスモデルは全く異なる。

誤解されないように言っておきますが、私はアニメも大好きですよ。「銀河鉄道999」、「宇宙戦艦ヤマト」、「機動戦士ガンダム」や「風の谷のナウシカ」などがお気に入りです。


でも作品作りの創造的な面に興味がある人にはマンガ家であることに利点は多い。マンガを描くためには大規模な映画やアニメに必要な大勢の人間と何十億円という費用が必要ない。そんな大金がない私にとっては大事なことである。さらにマンガだと自分のストーリーの成り行きをコントロールできる。アニメ業界の現実は、宮崎駿先生のように自分のプロダクションスタジオを持っていない限り、自分のアイデアを使うことはできない。ほとんどのアニメスタジオは人気があるマンガをアニメ化するだけで、ひとつのエピソードのために何千枚も絵を描かないといけないしんどい工程である。しかしマンガの場合、ペンと紙さえあれば描けるのだ(最近はコンピューターとソフトウェアでも描けるが、そのことはまた後で)。


マンガ家は芸術的には実に自由である。でも逆に多くの技術が必要となる。ある見方ではマンガ家は映画のエンドロールに出てくる役割を全てこなさないといけない。まずは作家や脚本家のようにオリジナルなストーリーを作り、企画に収まる大きさに刻み、説得力のある会話を盛り込んで話を磨く。でもそこでは終わらず、次にそれを絵にしなければならない。キャラのデザインはどうするか(キャスティングディレクター)?何を着せるか(衣装デザイナー)?世界をモデル化し(セットデザイナー)、絵にする時には話の持ち運び方(監督と編集者)と見せ方(シネマトグラファー)を自分で決めないといけない。

大変だけどそれなりに面白いのである。いつかマンガ道を遠くまで歩んだ時、映画にもチャレンジしたい。出版物のエンタメに対してインターネットやテレビゲームなど強豪な競争相手が多くなってきている時代、芸術家として生き残るためには適応性が必要となるだろう。